2歳〜5歳までの子どもは、幼児教育においてたくさんの物事を学んで習得する「トドラー期」として非常に重要視されています。
紐通しおもちゃは、手や指先を刺激して子どもの成長を促す教具として、約100年前から受け継がれているモンテッソーリ教育でも取り入れられています。
本記事では、紐通しが子どもに与える3つの効果を、現役の幼稚園教諭が解説しました。
また、モンテッソーリ教育との関係性も深堀りするため、ぜひ子育ての参考にしてみてください!
こんな親子におすすめ!
- 紐通しおもちゃの効果を知りたい方
- モンテッソーリ教育に興味がある方
- 子どもに良い影響を与えるおもちゃが欲しい方
紐通しおもちゃが子どもにもたらす効果とは?
紐通しおもちゃとは、穴に紐を通すために作られたおもちゃです。
紐通しのおもちゃは、大きく分けて2種類あります。
- 穴の開いたビーズに紐を通すタイプ
- 穴の開いたボードに紐を縫うように通すタイプ
どちらのタイプも「指先を使うことで子どもの巧緻性(こうちせい)を養う」ことが目的です。
巧緻性が養われると、子どもにどのような影響を与えるのでしょうか。
子どもが紐通しおもちゃで遊ぶと、3つの効果が期待できます。
- 手先が器用になる
- 考える力がつく
- 生活の自立に繋がる
それぞれの効果を詳しく解説します。
紐通しのおもちゃは、巧緻性を養うことが目的です。つまり「手先を器用にするためのおもちゃ」と言えます。
穴に紐を通す動作は子どもにとって難しいからこそ、できたときに達成感や楽しさを味わうことができるのです。
実際に、モンテッソーリ教育の私立幼稚園に通っている子どもたちも初めは紐通しに苦戦しますが、日々の活動の中で少しずつ上達していきます。
紐通しは1回きりのおもちゃではなく、繰り返し遊ぶことで次第に手先が器用になり、子どもの成長へと繋がります。
紐を通すことに慣れて遊び飽きた場合は、次の段階や遊びを考えてみましょう。例えば、モンテッソーリ教育では、ハサミを使った活動や縫いさしなどの活動を行います。
ぜひ子どもの興味や関心に合わせて、色々な遊びにチャレンジしてみてくださいね。
紐通しおもちゃを繰り返し遊ぶことによって、子ども自身の生活の自立に繋がります。
理由は、手先が器用になり、衣服の着脱や食器の使い方も上達するからです。
例えば、服についているボタンの開け閉めも細かい手先の動作を必要とします。私立幼稚園に通う2〜3歳頃の子どもも、初めはボタンを上手に開けられない子がほとんどです。
そのような中、紐通しおもちゃを使って手先の調整力が次第に身につくと、ボタンの開け閉めもできるようになっていきます。
紐通しおもちゃを通して、手先の細かい動作を積み重ねることで、日常生活での自立を助長します。
紐通しおもちゃで遊ぶことによって、子どもの思考力を刺激します。なぜならば、動作を楽しみながら物事への理解が深まるからです。
例えば、穴の開いたビーズに真っすぐな紐を通し、上に掲げるとビーズが落ちます。次に、紐に結び目をつけてビーズを通すと、ビーズが落ちずに留まります。
大人にとっては当たり前のことですが、子どもにとって当たり前ではありません。
実際に、モンテッソーリ教具を提供する教師たちも紐通しをする中で、「なんでビーズが落ちないんだろうね」と子どもに投げかけることがあります。
すると子どもは、穴の開いたビーズをのぞき込んだり、紐の結び目を触ったりして、落ちない理由を考えます。
紐通しおもちゃは、遊びながら考える力を刺激するおもちゃです。
紐通しとモンテッソーリ教育の関係性を解説
世界的に注目されているモンテッソーリ教育でも、「紐通し」と呼ばれている教具があります。
紐通しおもちゃは、約100年前から提唱されたモンテッソーリ教育の考え方に基づいたものだったのです。
ここでは、モンテッソーリ教育の考え方を詳しく紹介し、紐通しおもちゃとの関係性も解説します。
モンテッソーリ教育とは、1907年頃のイギリスにてマリア・モンテッソーリという人物が提唱した教育法です。
モンテッソーリ教育の考え方は、「子どもたちは生まれながらにして、自発的に学び始める力を持っている」と捉えています。
子どもが主体性を発揮するための環境を整える、新しい教育として世界各国にブームを巻き起こしました。
モンテッソーリ教育は、年齢を織り交ぜたクラス編成や、専用の教具を主軸とした環境が特徴的です。
1960年代に日本でも少しずつ認知され、モンテッソーリ教育を導入した幼稚園や専門施設が設立されました。
日本においては、モンテッソーリ教育を通して、社会に貢献する人物になることを目的としています。
モンテッソーリの教具は、作業しながら概念を理解することが目的です。つまり、遊びながら気付きが得られるように作られています。
概念を5つのテーマに細分化し、それぞれの領域に基づいた教具が存在します。
5つのテーマとは、日常生活・感覚・言語・数・文化の5領域です。
5領域に基づいた、代表的な教具をご紹介します。
領域 | 教具名 | 活動内容 | 期待できる効果 |
---|---|---|---|
日常生活 | 着衣枠 | ボタンやファスナーなどの開け閉めをする | 衣服の着脱ができるようになる |
感覚 | 色板 | 色のついた板を使って色を見分ける | 色が識別できるになる |
言語 | 砂文字板 | ザラザラした砂の文字をなぞる | 文字の書き順を覚える |
数 | 数の棒 | 色のついた棒で1から10までの数を数える | 1から10の数を覚えられる |
文化 | 葉のたんす | 葉っぱの形をした教具をなぞる | 葉っぱや植物への理解を深める |
以上、紐通しと同じような成長段階・1〜3歳頃の子どもに適している教具を紹介しました。
また、期待できる効果は表に提示している1つだけではなく、間接的に影響が及ぶ効果もあります。
紐通しも手先の器用さだけではなく、先述した3つの効果のように間接的な成長が見込まれます。
紐通しおもちゃは3つの効果が期待できる
本記事では、紐通しおもちゃについて現役の幼稚園教諭が徹底的に解説しました。
紐通しおもちゃで遊ぶと期待できる効果は、以下の3つです。
- 手先が器用になる
- 考える力がつく
- 生活の自立に繋がる
また、紐通しおもちゃはモンテッソーリ教育と深い関係性があります。
モンテッソーリ教育は、子どもの主体性を大切にして、社会に貢献できる大人になることを目的としています。
ぜひ、子どもの未来に大切な要素を紐通しおもちゃで養えるよう、一緒に遊んでみてくださいね。