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最近話題のSTEAM教育って?トドラー期からできる取り組みまで分かりやすく解説

STEAM教育ってなに?トドラー期から親が意識したいこと

STEAM教育(スチーム教育/スティーム教育)という言葉をご存知でしょうか。

「最近よく耳にするけど、いまいち分からない」という親御さまも多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、STEAM教育とは何か、なぜ重要視されているのか、そしてトドラー期からできる取り組みについてご紹介します。是非参考にして頂けると幸いです。

STEAM教育とは

STEM教育とSTEAM教育

STEAM教育とは何か

STEAMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Art(芸術・リベラルアーツ)、Mathematics(数学)の頭文字をとった言葉です。

STEAM教育とは、端的に言うと、これら5つの分野をそれぞれ個別に学ぶのではなく、横断的に学ぼうとする取り組みです。もともとは、理数分野に特化したSTEM教育がベースとなっており、そこにアートの要素を加えたものが、STEAM教育です。

アメリカでは、科学技術に優れた人材を多く育成しようと、2009年オバマ前大統領就任時から、国家的な戦略として取り組んでいます。

STEAM教育の特徴

STEAM教育の大きな特徴は、様々な教科を「横断的に学ぶ」ということです。

従来の教育では、「数学」「物理」「化学」というように、各教科を個別に学習してきました。これらを、ただ別々に学習して終わり、ではなく、「組み合わせて使う」練習をしよう、というのがSTEAMの取り組みです

各教科・領域固有の知識や考え方を、統合的に働かせて、自分なりの答えを導き出し、課題を解決する。すなわち「探究する」という過程を重視することが、STEAM教育の特徴です。

Aはアートだけじゃない

STEAM教育におけるArtとは、単に芸術的な感性や表現力を磨く、ということではありません。

求められているのは、「リベラルアーツ」「アート的思考力」です。

リベラルアーツ

直訳すると「一般教養」です。「一般教養」と聞くと、様々な分野に対して多くの知識を備えていることのように思われますが、そうではありません。

芸術、文学、歴史、言語、経済、法律、政治、倫理といった様々な分野を横断的に学ぶことを通して、「多角的な視点」を身につけることを目指します。これは、多様な意見を柔軟に受け入れ、他者を尊重し理解する力に繋がります

また、多角的な視点から物事を見つめることで、自ら課題を見つけ「問い」を立てる、課題発見能力を高めることにも繋がっていきます。

アート的思考力

アート的思考力とは、自分なりのものの見方・考え方で対象を見つめ、探究し、自分なりの答えを導き出す力のことです。

末永幸歩さんは、著書『13歳からのアート思考』(ダイヤモンド社、2020年)にて、アーティストがアート的思考力を働かせながら作品を生み出す一連の流れを「アートという植物」として表現しています。作品を「花」に例えると、そのタネとなるのが、アーティスト自身の「興味」「好奇心」「疑問」です。その「興味のタネ」から出発して、好奇心の赴くままに探究していく過程で、「探究の根」が張り巡らされていきます。その探究を通して、アーティストが導き出した「自分なりの答え」。それが「アート」です。

STEAM教育が重要な理由

子どもたちがこれから生きていく社会

STEAM教育における多角的な思考がこれからの時代には必要

「学歴社会」「学力偏重主義」の課題が指摘されるようになって久しいですね。学校の試験で良い点数が取れるというのは、正しい知識・情報を多く持ち、その中から、たった1つの「正解を見つける能力」が高いことを意味します。

今までは、こうした「正解を見つける能力」が高いことが評価されてきました。しかし、世の中の変動が激しく、世界が変化する度にその都度新たな正解を見つけていくのは、もはや不可能な時代に突入しています。

これからの社会で求められる力

そんな社会を生き抜くために求められているのが「自分なりの答えを導き出す力」です。

もちろん様々な知識を身につけ、様々な「正解」を知っていることは必要です。ですが、ただ知識を持っているだけではなく、それらを組み合わせたり、応用したりして試行錯誤しながら、「自分なりの答え」を導き出す力が重要です。

多様な視点で社会を見つめ、課題を発見し、様々な人々と協力しながら、その課題を解決しようと取り組む、創造的な人材が求められています。

トドラー期からできる、親が意識したい取り組み

こうしたSTEAM教育は、文部科学省も推進しており、日本の学校教育でも取り入れようとする動きが強まっています。

就学以降、STEAM教育の効果を上げるためには、トドラー期からその土台を育んでいくことが重要です。

その土台とは、様々なことに興味関心を持ち、挑戦する「意欲」です。そして、挑戦を始めた際に「最後までやり抜く力」「忍耐力」も必要です。

これらは、非認知能力と呼ばれるもので、就学以降、主体的に学びに向かう力を発揮するために、とても重要です。これらをトドラー期から育むためのヒントをご紹介します。

子どもの「なぜだろう」「不思議だな」を大切に

トドラー期にSTEAM教育の土台をつくる

子どもたちは、日々の遊びや生活の中で、様々なことに興味関心を持ち、様々な挑戦をしています。

子どもにとっては、毎日が新しい世界との出会いの連続です。「なぜだろう」「不思議だな」「やってみたい」と、子どもの心が動く瞬間を、大切に受け止めてあげたいです。

そして、子どもの挑戦・探究をあたたかく見守りましょう。「楽しい」「できた」「おもしろい」という感覚・経験を日々積み重ねていくことが重要です。

その過程で、もし子どもが、自分では解決が難しい困り事に直面した場合には、さりげなく援助してあげたり、「こうしたら子どもの探究がもっと面白く広がるのではないか」というアイデアをプラスしてあげたり、必要に応じて援助してあげたいですね。

子どもにとっての「心の安全基地」になる

子どもが様々なことに興味関心を持ち、意欲的に挑戦する姿勢を育むためには、子どもが主体性を発揮できる環境を整えることが重要です。

そして、子どもが主体性を発揮するために重要なのが、安心感です「失敗しても大丈夫」「何があってもパパやママは味方でいてくれる」という安心感が必要です。

ですから是非、子どもにとっての心の安全基地となり、「あなたのことが大好きだよ」「何があっても味方だよ」「困ったらいつでも助けるから大丈夫だよ」というメッセージを送ってあげてください。

STEAM教育で生きる力を育む

AIやIoT等の急速な技術の進展により、現代社会は変化が激しく、予測が困難で、様々な問題を抱えています。

そうした社会を生き抜くためには、社会の根幹を成しているSTEM分野への資質・能力等を高めることに加え、「Art」の力を持って、多角的な視点で社会を見つめ、課題を発見し、「自分なりの答えを導き出す力」が求められています。

子どもにとって身近な存在である大人が、心の安全基地となり、子どもが探究する姿を、是非あたたかく見守ってあげてください。