最近、耳にするようになった「モンテッソーリ教育」は、ご存知でしょうか。
子どもの持っている力を大きく伸ばすモンテッソーリ教育は、注目されている教育方法の1つです。
筆者自身もモンテッソーリ教育を参考にした、おもちゃを取り入れている保育園で働いています。そして、モンテッソーリ教育の素晴らしさを、日々目の当たりにしています。
ぜひ、入園先の園選びや子育ての参考にされてくださいね。
この記事でわかること
- モンテッソーリ教育の歴史や特徴
- モンテッソーリ教育のメリットや注意点
- モンテッソーリ教育に年齢別におすすめするおもちゃ
毎日、モンテッソーリ教育に触れているからこそわかる、その魅力やおすすめできるおもちゃも紹介します。
子どもの力を伸ばす!モンテッソーリ教育とは?
子どもの持っている力を充分に引き出すモンテッソーリ教育。歴史や特徴も確認してみましょう。
ローマ大学初の女性医学博士であったマリア・モンテッソーリが考案したのが、モンテッソーリ教育です。第一次世界大戦前からある、古い歴史のある教育方法です。
考案されて100年以上たった今でも、世界中から支持されているモンテッソーリ教育。時代と文化を超えて多くの人を惹きつけ、現在は110以上の国で実践されています。
「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という「自己教育」の考え方をもとに、数多く著名人が受けた教育法としても話題になっています。
モンテッソーリ教育の特徴は、「大人がすべきことは、何かを直接子どもに教え込むことではない」「子どもの発達がどのような形で進んでいくのかを知り、子どもを観察し、環境を整えていくことが大切」と考え、遊びや環境を整えていくことです。
「小さなものをつまんで、拾う」「器から器へ移動する」「バランスの悪い場所を歩く」など、子どもたちの普段の活動も成長に欠かせないものと考えられています。
その行動を「おしごと」と呼ぶなど、他の遊びで見られない特徴があります。
- 子どもを良く観察し、興味あるものを知る
- 子どもに合った環境を設定する
- おしごと前に必ず大人が見本を見せる
- おしごと中は、声を掛けずに黙って見守る
- おしごとが終わったら、できたことを大いに褒める
手順を守ることで、子どもが自分自身を育てる力を育みます。
モンテッソーリ教育では、赤ちゃんの持って生まれた能力に「周囲の環境をなんでも吸収する力」があると考えられています。
0〜6歳頃までを2つの時期に分け、その中で、教育分野も分類されています。
【前期(0~3歳)】
0〜3歳頃までは、無意識で周囲の環境をなんでも吸収すると考えられています。
前期の7つの教育分野は以下の通りです。
- 粗大運動の活動(全身運動)
- 微細運動の活動(手先を使う訓練)
- 日常生活の練習(全身と指先を使った、日常生活でのしぐさ)
- 言語教育(ことばに興味を持ち、獲得する)
- 感覚教育(五感を使って、おもちゃで遊ぶ経験)
- 音楽(音に興味を持ち、音感を養う)
- 美術(自由に表現する経験)
【後期(3〜6歳まで)】
3歳〜6歳頃までは、意識的に周囲の環境を吸収すると言われています。前期に吸収したことを元に考えを巡らせ、自分なりに整理しようとします。
後期の5つの教育分野は以下の通りです。
- 日常生活の練習(日常生活の動作)
- 感覚教育(五感を使い、色や大小、多少を具体的に知る)
- 言語教育(読み書きや文法への興味)
- 算数教育(数への興味、数を使った、比べる、集める、並べるなどの認識)
- 文化教育(自然、科学、乗り物、生き物などの文化への興味関心)
モンテッソーリ教育には下記のメリットがあります。
- 集中力がつく
- 自主性が育つ
- 自己肯定感が上がる
モンテッソーリ教育では、子どもの発達段階を捉え、興味あるおもちゃを準備します。
おもちゃを使って、子どもたちが自分自身で取り組む姿勢は、自主性へとつながります。興味あるおもちゃで、じっくり遊ぶことで、集中力も養われますね。
また、『簡単すぎない』おもちゃを自分自身の力で、達成し、認められることが、自己肯定感アップにつながります。
モンテッソーリ教育は、1つの遊びからも複数の大きなメリットが生まれます。
モンテッソーリ教育を行なう上で、特に注意したいのは次の3つです。
- 子どもの発達に合わせたおもちゃの提供
- 環境の重要性を考える
- 大人の役割の把握
子どもの「やりたい」という気持ちを引き出すためには、発達に合わせた興味あるおもちゃを大人が準備するようにしましょう。
おもちゃが準備できたら、じっくりと遊びこめる環境を準備します。
騒がしい場所ではなく、1人1人がじっくりと遊び込める落ち着いた環境が好ましいです。難しい場合は、開けた空間ではなく、周りが囲まれ、前に壁などのある情報が少ない環境でも良いでしょう。
また、大人の役割は必ず、理解しておく必要があります。
「おしごと」の最中は、必ず黙って見守りましょう。子ども自身の取り組む力が育まれます。
代わりに「おしごと」が終わった後には、しっかりと子どもを認める声掛けも忘れないようにしてくださいね。
モンテッソーリ教育におすすめ!年齢別おもちゃ2023年最新版
モンテッソーリ教育の特徴や手順、メリット、注意点がわかったら、おもちゃを選んでみましょう!
子ども達の発達と興味を把握してから、選ぶことが重要です。
歩行が始まり、世界が広がり始める1歳。まだ複雑な仕組みは難しいため、作りやデザインは、シンプルなものがおすすめです。
この時期の子どもが大好きな「叩く」動作があるおもちゃです。
また、ハンマーで叩くという動きには、「手首のひねり」「力加減」「目で見る距離感」も養われます。
- 木のぬくもりを感じられる木製玩具
- 子どもの視覚に訴えやすい三原色(赤・青・黄)
- 手首を使う動作
おしゃれなアメリカ発の北欧デザインのスタッキングカップです。カップを重ねると、その成果を目で見て確認できます!どんどん積み重なるカップに子ども達は夢中になるでしょう。
- 握りやすい工夫された形状
- カップ底にはいろいろな型が掘られており、形認識の遊びにも
- おしゃれなデザインがインテリアに馴染む
この時期の子どもが大好きな「叩く」動作があるおもちゃです。
また、ハンマーで叩くという動きには、「手首のひねり」「力加減」「目で見る距離感」も養われます。
- 木のぬくもりを感じられる木製玩具
- 子どもの視覚に訴えやすい三原色(赤・青・黄)
- 手首を使う動作
シンプルな積み木です。木のぬくもり、香りが五感を刺激します。12種類の木材を使った贅沢な素材にも注目です。積んでも、並べても、触るだけでも楽しめますね。
- 五感を使って楽しめる積み木
- 様々な形に触れ合う経験ができる
- 無塗装面取りで、安全面も安心
正方形、丸、三角の形を取り入れた型はめパズルです。小さなつまみを摘む、シンプルな動作はこの時期にピッタリ。
- 初めて行う型はめパズルに適している
- シンプルな形ながら、かたちの認識にも役立つ
- ピースを外した後まで楽しめる仕掛け
1歳に比べて、細かい動作もできるようになる2歳は少し作りが複雑で、繰り返し挑戦できるものが良いでしょう。何度も挑戦し、成功した時に味わえる達成感は、モンテッソーリ教育ならではのものです。
じっくりと集中して楽しむことのできる紐通しです。年齢に合わせて、紐と積み木の穴のサイズ感が調整されており、子どもたちにとって、適度な難しさが魅力になります。
- 親しみやすい動物のデザインで名称練習にも
- 手先、指先を使う動作の練習に
- 積み木は全て木でできており、木のぬくもりも感じられる
モンテッソーリ教育の玩具でも有名なシール貼り遊び。手作りでも簡単に楽しめますが、あらかじめ市販のセットでも販売されています。手軽に楽しめる遊びの1つでしょう。
- 台紙をコピーすれば、何度でも楽しめる
- 剥がす。貼るの動作が同時に習得できる
- 長時間じっくりと楽しむ子もいる遊び
子どもたちの大好きなままごと遊びと、型はめが同時に楽しめるおもちゃです。数種類の遊び方が楽しめるため、大人の見本の見せ方によって、多くの遊びから学びが得られます。
- 食べ物の名称も覚えられる
- 包丁で、野菜をカットできるしかけ付き
- つまみのない型はめパズルで、子どもたちに丁度良い難易度
キューブ型のパズルは、初めてのパズルにもピッタリです。馴染みのある動物のイラストが目を惹くでしょう。パズルとして遊ぶことが難しい場合は、積み木として楽しめます。
- 立体のパズルで空間認知能力を養う
- 積む、ひねる、握るなど、さまざまな手先の運動を促す
- 動物の名称を楽しめる
石の形に見立てた積み木です。常の積み木より、不安定で、難易度が上がります。
バランス感覚を養うにはピッタリの積み木でしょう。
- 手先、指先を使ったバランス感覚を養える
- 積み木は多面体で、形の概念も学べる
- 木製ながらも、目を惹くカラフルな色合い
3歳になると、一気に身体能力もあがり、指先まで器用に使えるようになります。また、数の概念も生まれ、知能面にも大きな成長が見られる時期です。身体的な動きだけではなく、数字や文字の概念のあるおもちゃがおすすめです。
①マッチングエッグセット
卵型の型はめ玩具です。卵は半分に割れる仕掛けになっており、卵型状の認識だけではなく、さまざまな形に触れることができます。
- 12種類の形状が学べる仕組み
- 形状のマッチングや、数の認識など、同時に多くのこともを学べる玩具
- シリーズで販売されており、マッチングの種類を選ぶことも可能
生活の中の動作で大切な食具の使い方。箸トレーニングおもちゃでは、箸に移行するまでに必要な動きを遊びの中で習得することができます。
- 段階を踏んで、指先の使い方を習得できる
- 遊びと生活が結びつく、モンテッソーリ教育ならではの玩具
- 色合わせや数字の概念も一緒に学べる
新聞にも掲載されたことのある円柱さしの玩具です。モンテッソーリ教育の要素として、1人でじっくりと遊びこめることはもちろん、家族みんなでも一緒に楽しめます。
大小の円柱は、大きさの概念を習得するのにもピッタリです。
- 絶妙な指先の力加減が必要で、集中力もアップ
- 立体感覚・色彩感覚などを養う感覚教具
- 並べる、はめる、つまむ、積むなど、遊び方は豊富
棒さしに「見て、真似る」などの要素が加わった玩具です。積み木の形と色も複数あり、形や色の概念も学べます。
- 見本を真似る、思考力と考察力が養われる
- 形、色、数などの概念に考える力が必要な玩具
- 同じ遊び方でも難易度の調整ができる
子どもが興味を示すことの多い鍵。さらに、車をモチーフにした魅力的な玩具です。英語や数字の概念も一緒に学ぶことのできる仕組みつきです。
- 子どもの興味をそそる鍵のモチーフ
- 難易度の高い鍵を開け閉めする動作を経験
- 指先の力加減や、動きの認識が学べる
モンテッソーリ教育のおもちゃで楽しもう!
子どもの自身の持っている力を大きく伸ばすモンテッソーリ教育。
私自身も、保育現場で実際のモンテッソーリ教育に触れ、子どもたちの成長を目にし、モンテッソーリ教育の素晴らしさを実感しています。
難しそうに思えますが、大人が援助の仕方をしっかりと理解したうえで、環境を整えることで、誰でも簡単に始められる教育の1つですよ。
興味のある方はぜひ、参考にしてみてくださいね。