保育士解説!イヤイヤ期を乗り越える関わり方のヒントを伝授 | NEM(ネム)|トドラー期の教育情報メディア   
トドラー期の遊びを応援する教育情報メディア

保育士解説!イヤイヤ期を乗り越える関わり方のヒントを伝授

保育士が解説!イヤイヤ期を乗り越える子どもとの関わり方のヒント

1歳半を過ぎるころになると、今までパパやママのいうことを素直に聞いていたお子さんが「いや」「自分で!」と自分の意思を通そうとするようになります。

その時期を「イヤイヤ期」と呼びますが、周囲の大人は根気良く関わらなければならず、ストレスが溜まったりイライラしてしまい、育児が嫌になることもあるでしょう。

そもそも「イヤイヤ期」とは何なのでしょうか。大人であるわたしたちも通ってきた道である「イヤイヤ期」の理由と、その対応法を保育士ライターの炭本まみがご紹介します。

「イヤイヤ期」は人格の土台作り!自分を「知る・認識」する

これまではパパやママのいう通りに用意した服を着せたり、靴を履かせてあげたりしても特に文句も言わず素直だったお子さん。

1歳から1歳半の頃になると、誰しもが「イヤイヤ期」を迎えます。第一次反抗期とも言われるこの時期は、まだ言葉で気持ちや考えを伝えられない小さな子どもが、「いや!」という言葉で表現することが多いため「イヤイヤ期」などと言われるようになりました。

「イヤイヤ期」はなぜあるのでしょうか。

それは子ども自身が「自分という存在」に気づく時期だからなのです。

これまではパパやママと自分の境界線がわからず、言われるがままに活動・生活することが当然でしたが、イヤイヤ期は自分と周囲の人は別の人間であるという「自我の芽生え」が現れはじめる時期なのです。

誰もがイヤイヤ期を通じて、自分の意思を表現したり、自分の考えや気持ちを自分で決めることで自分自身という存在を認識します。また「いや」と言った時の周囲の反応を見て、自分への気持ちを確かめていることをもしています。

この時期の子どもを「一人の人間」として尊重し、ルールを教えながらもしっかりと気持ちを受け止めてあげることで、さらに成長した先で、自分への自信とパパやママ含む周囲の人への信頼感も芽生えるのです。

それにしても、何をするにも反抗し、言葉で説明することもままならない小さな子どもに対し、周囲の大人は大変なストレスを抱え、イライラしてしまい、時には子育てをやめたくなることさえもあるでしょう。

そんな気持ちを抱えたまま、「イヤイヤ期」の子どもへどのような関わりをしたらよいのでしょうか。

イヤイヤ期の子どもの「言葉にできない」気持ちを受け止める

イヤイヤ期の子どもの「言葉にできない」気持ちを受け止める

子どもが「いや!」「ダメ!」「自分で!!」と言う時は、こちらが「できる・できない」に関わらず必ず言葉にして気持ちを受け止めます。

  • いやだったんだね
  • 自分でしたかったんだね
  • ダメだったんだね
  • 行きたかったね
  • 食べたかったね
  • 欲しかったね

など、その状況から子どもが感じているであろう気持ちを代弁してあげましょう。

ひとまず、受け止めてもらった、というだけで子どもはとても安心しますし、自分の気持ちを表現しても良いのだ、パパやママは自分を理解してくれるのだと、信頼してくれます。

このように気持ちを代弁してあげたら、させてあげられること、かなえてあげられることであれば、させてあげましょう。

かなえてあげられない状況の場合は、「いやだよね。わかるよ。そうだよね。今はできないけれど、夕方ならいいよ。」など、別の方法もある、別の方法ならできると伝えます。

イヤイヤ期の子どもに脅し言葉や交換条件はNG

イヤイヤ期の子どもに脅し言葉や交換条件はNG

「イヤイヤ期」の子どもになるべく言ってはいけない言葉もあります。

「ダメ」は命の危険があるときだけ

子どもの「イヤイヤ」に対して大人が「ダメ」と言うことで、子どもは意思表示をすること自体が「ダメ」なのだと捉えてしまい、心に残ってしまいます。ついつい言ってしまいそうになる言葉ですが、言わないようにしましょう。

しかし、命の危険があるときは別です。

道路に飛び出しだそうとしたとき、駐車場で手をつながず走ろうとしたときなど命の危険を伴う行動をしたときには、「ダメだよ。手をつながないと車が危ないからね」と、理由をしっかり伝えた上で注意をすることも大切です。

「おいていくよ」と言っても置いていかないですよね?それは脅し言葉

おもちゃ売り場やお菓子売り場、公園など、子どもの大好きな場所に行くと、帰る時間になってもなかなか帰ろうとしません。どんなお子さんでも楽しいのですから当然の姿です。

「帰るよ」と言っても「いや!」「帰らない!」と言った場合、「もう置いていくよ」とついつい言ってしまいますね。けれど実際には子どもを置いていけるはずもなく、実行はしません。そういうことをパパやママは絶対しない、と思われ「子どもに何とか言うことを聞かせたい」という気持ちを子どもは見透かすようになります。また、親子の信頼関係も揺らいでしまうでしょう。

置いていかれないと頭では分かっていても、「置いていくよ」という言葉は子どもにとってとても恐怖感のある言葉です。

「置いていくよ」「もう知らないから」「ママいなくなっちゃうからね」といった脅す言葉で子どもを動かそうとするのはやめましょう。

「お菓子買うから行こう」という交換条件はやめよう

気持ちに寄り添うことを心掛けた結果、代替案を出す際に、「お菓子(おもちゃ)を買ってあげるから行こう」などと、ものを買い与えることを約束し、子どもを動かそうとしてしまうことがありますが、これも良くありません。

そうすると、駄々をこねれば何かを買ってもらえると子どもが思うようになり、今後もあらゆる場面で「駄々をこねていうことを聞かなければ何かを買ってもらえる」という思考になっていきます。

また、親もそのときに応じて、買ったり買わなかったりするはずでしょう。子どもに対する姿勢・対応がその時によって変わるのは、子どもが混乱してしまいます。

寄り添っても「いやだ」という気分が変わらないときは、ものを買い与えるのではなく、違うことに視点や考えが向かうように、気分転換をしてあげましょう。

  • お水飲もうか
  • あっちの方に行ってみよう
  • お花咲いてるかも!探しに行こう
  • ママ絵本読もうかな、一緒に見ない?

など、自然に気分転換できるような言葉をかけてあげましょう。

「イヤイヤ期」の対応ルールを家族で決めておこう

  • まだできないのに……なんでも「自分で!」とやりたがる
  • 予定の変更にギャン泣き! 勝手に決めると怒る・泣く
  • でのに「ママ、やって」と自分でしたがらず甘える
  • わざと遊ぶ、こぼす、呼んでも来ないなど、約束を守らないきる

イヤイヤ期にはこのような様々な姿があります。

今日は良くても明日はダメというように、大人の対応が揺らぐと、子どもも戸惑いますし、「イヤイヤ期」も長引いてしまうこともあります。

「こんなときはこんな風に対応をする」と自分の中でルールを決めたり、ほかの家族も同様の対応ができるよう、ルールを共有しておきましょう。

終わりはくるの?「イヤイヤ期」はいつまで?

「イヤイヤ期」は4歳くらいまで続く子どももいますが、一般的に3歳を過ぎたころから少しずつ落ち着くといわれています。振り返ってみると「そんな頃もあったなぁ」と思い出せるくらい、可愛らしい思い出になります。

と言っても、今は大変な毎日ですね。どうか怒ったり怒鳴ったりすることなく、気長に付き合い、ときには少し放っておいたり、「そうだよねー」と声をかけ見守るだけでもいいのです。

子育てが辛く苦しくなってしまうところまでいかないよう、一つひとつの「イヤイヤ」に真剣に付き合いすぎず、うまく手を抜き、周囲に頼ってみてください。