子どもの力を大きく伸ばすモンテッソーリ教育。
多くのメリットがあるモンテッソーリ教育の概要については、以前に下記の記事で紹介させていただきました。
モンテッソーリ教育にぴったりの市販おもちゃ 現役保育士が年齢別に解説今回、モンテッソーリ教育の中で注目するのは、2歳頃から始める「はさみ練習」。
じつは、はさみ練習もモンテッソーリ教育に基づいて行うことができるのです。
この記事では、
- モンテッソーリ教育のはさみを取り入れるメリット
- はさみ練習前に準備したいこと
- 進め方のコツ
- おすすめの無料台紙
についてご紹介します。
筆者の働く保育園でも、モンテッソーリ教育を参考にしたはさみ練習を取り入れています。
実際の日々の経験を踏まえ、モンテッソーリ教育のはさみ練習の魅力をお伝えできたらと思います。
モンテッソーリ教育のはさみを取り入れる5つのメリット
モンテッソーリ教育のはさみ練習には、モンテッソーリ教育だからこそのメリットがあります。
まずは、5つのメリットを確認してみましょう。
はさみ練習は、手先・指先の発達を促します。そして、発達段階を理解しながら、モンテッソーリ教育のはさみ練習を取り入れると、さらに発達を促すことが期待できます。
子どもの力を伸ばすモンテッソーリ教育は、無理をさせるのではなく、今持っている子ども自身の力を最大限に引き出します。
細かい作業が苦手な子も、適切な援助を行うことで、ベストな発達の手助けができるでしょう。
はさみ練習に限らず、モンテッソーリ教育には、集中力を養うメリットがあります。
大人がしっかりと行程を理解し、子どもへの声掛けを最低限にして見守ることで、集中しやすくなります。
他の遊びとは違って、1人1人の練習環境を保証してあげられることが、大きく関係しています。
モンテッソーリ教育のはさみ練習では、他のはさみ練習に比べ、考える力が身に付くでしょう。
それは、モンテッソーリ教育の特徴の1つに、「お仕事中(子どもが行う作業中のこと)は声を掛けずに見守る」があるからです。
上手くいかない時や迷った時には、大人に聞くことも大切です。
ただ、モンテッソーリ教育では、あえてそのような働きかけを大人からはしません。
それは、子どもが自身で考えて解決する経験こそが、力を伸ばしていくうえで、重要だと考えられているからです。
モンテッソーリ教育を取り入れると、自分自身で考える力を身に付ける場面が自然と多くなるでしょう。
モンテッソーリ教育を取り入れると、達成感を感じられる場面が増えるのもメリットの1つ。
じっくりと集中できる環境の中で取り組み、自分自身で考える練習は、間違いなく、大きな達成感を感じられます。
また、無理せずに段階を踏んで練習することで、諦めずに最後まで取り組め、最終的には大きな自信につながるでしょう。
はさみの動きは、日常生活の動作練習にもなります。
指を引っ掛けたり、指先で力加減を加えたり、それぞれの指を違う動きで動かしたり…と、はさみを使う動きは、複雑な動きが多くあります。
じつは関係ないと思っていた日常生活の動きが、はさみの練習と大いに関わっていることがあるかもしれませんね。
はさみ練習前に準備したいこと
モンテッソーリ教育のはさみ練習のメリットがわかったら、つぎは練習前の準備が必要です。
事前準備を行ない、スムーズにはさみ練習を始められるとよいですね。
子どもにあったはさみを選ぶことは重要です。はさみを選ぶときのポイントは下記です。
- 利き手用のはさみか
- 子どもの手のサイズに合っているか
- 指をかけやすくフィットする形か
- 指先の力が伝わりやすい構造か
- 危険はないか
コクヨのはさみは、小さな力でも刃先まで軽く切れる特徴があり、使いやすいと好評です。保管に便利なキャップつきで、子どもの手にもしっくりと馴染むよう工夫された構造になっています。
子どもにあったはさみを準備し、スムーズにはさみ練習を始められるとよいですね。
はさみを購入したら、使い方とルールを確認しましょう。
初めてはさみを使う時には、1対1や少人数での説明がベスト。
持ち方を知らせる時には、向き合うのではなく、子どもの背中側にまわり、同じ見方、持ち方を実践するとわかりやすいですね。ルールは、使う前に必ず確認しましょう。
- はさみは刃の方に手を添えて正しく持つ(持ち歩く時や片付ける時を含む)
- はさみの刃を人に向けない
- はさみでは、決められたもの以外切らない
- はさみは座って使う
- はさみを持ってふざけない
上記は、例になりますが、使う環境や年齢によって、さらにルールを工夫してもよいでしょう。
事前にはさみ練習を行う部屋や場所の環境設定をしましょう。はさみ練習には、じっくりと集中できる環境準備が大切です。
部屋の端に静かな場所を準備することがおすすめ。視界の開けた場所や、騒がしい場所での取り組みは、好ましくありません。1人1人の子どもたちがじっくりと取り組めるように、作業スペースを確保することを心掛けましょう。
また、モンテッソーリ教育のはさみ練習では次のようなセットが一般的になっています。
- おぼん(トレー)
- はさみ
- 台紙
- お皿などの容器
おぼんの上には、はさみと台紙を入れたお皿、空のお皿(切り終わった台紙を入れる)を置き、1セットとします。
はさみ練習を行う子は、おぼんごと自分の席に運び、練習を始めます。棚や机の場所は、おぼんを運ぶことを考えた動線にしましょう。
モンテッソーリ教育はさみの進め方のコツ
モンテッソーリ教育のはさみ練習では、段階を踏んで、はさみ練習を行ないます。無理せずに、できることから1つずつ進める、スモールステップを大切にしています。
では、練習の手順を確認してみましょう。
1回で切れる幅(1㎝程度)の細長い色画用紙を準備し、はさみを開いて1回で切ります。
反対の手で画用紙を持つことが難しい場合には、大人が画用紙を持ち、子どもがはさみを開いたタイミングで、差し込んであげるとよいでしょう。
「➀線なしの1回切り」と同サイズの画用紙を準備します。そして、画用紙に目安となる線を描きます。マジックなどで太く濃く描くのがおすすめです。
子どもたちは、線に合わせて1回で切ります。
①、②より幅のある画用紙(2~4㎝)を準備します。子どもが2回で切れる長さになるよう、幅は調整してみてくださいね。
最初は、線なしでもよいですし、慣れてきたら、②と同様に線を描いてみてもよいでしょう。
2回以上連続して切れるような幅の画用紙を準備します。
自由に切っても、切りやすいように目安となる線を描いてあげてもよいでしょう。
線を描く時には直線から始めます。
画用紙に波線や曲線を描き、線に従って切ります。
曲線は難易度が上がります。曲線でも何種類かの台紙を準備し、簡単な線から始められると、取り組みやすいでしょう。
直線や曲線の混ざった複雑な線や、イラストを準備してみましょう。
難しすぎると、諦めてしまう子がいるかもしれません。子どもたちが取り組みやすいように、子どもたちのはさみ技術に応じて、あらかじめ数種類の台紙を準備するのがおすすめです。
モンテッソーリ教育のはさみにおすすめの無料台紙3選
直線や曲線の練習をするだけではなく、子どもたちもワクワクするような可愛らしい台紙がダウンロードできるサイトです。
色付きの食べ物や、女の子の似顔絵などのイラストを使ったはさみ練習ができます。
モンテッソーリ教育の情報を多く発信しているサイトです。はさみの練習台紙以外にも、モンテッソーリ教育で使えるさまざまな台紙や型紙もダウンロードできます。
また、はさみで切って終わりではなく、切った後に活かせる制作アイデアも多く発信。役立つ情報が盛りだくさんです。
優しい色合いと可愛らしいイラストが特徴のサイトです。初めてのはさみ練習向けのものから、難易度の高い台紙のダウンロードも可能。台紙だけではなく、写真や見本も掲載されており、初めてモンテッソーリ教育のはさみを取り入れたいと思う方にもピッタリのサイトです。
モンテッソーリ教育のはさみを取り入れてみよう!
多くのメリットがあるモンテッソーリ教育のはさみ練習。最初の準備や、環境設定は必要ですが、1度準備をしてしまえば、難しいものではありません。
また、無料で可愛らしい台紙がダウンロードできるサイトもあり、比較的取り入れやすいモンテッソー教育の1つではないでしょうか。
筆者自身の勤務先の保育園でも、はさみ練習を取り入れていますが、はさみ練習をしている時の子ども達の集中力は素晴らしいものです。
そして、はさみを取り入れはじめたあとでは、手先の器用さがアップする子どももいます。
モンテッソーリ教育のはさみは、保育士として働く筆者もおすすめしたい練習法の1つです。気になる方は、ぜひ試してみてくださいね。